新築外構や外構リフォームをご検討の際に、ご要望の高い「カーポート」。2022年2月、札幌で記録的な大雪に見舞われました。大切な愛車を守るため、雪かきの範囲や手間を出来るだけ減らしたいと、カーポートの需要が改めて高まっています。
近年カーポートのかたち、種類が多様化し、どのように選んだらよいか迷ってしまいますよね。特に、積雪地域である札幌では、雪に強いことが必須条件、カーポートの種類も限られてきます。限定された中でも、よりおしゃれに、かっこいいエクステリアにしていきたいですよね。
この記事では、積雪地域における「カーポートの選び方」の基本的なポイントを施工事例を交えてご紹介します。
①積雪地域における耐積雪基準
②カーポートの基本的なサイズ・高さ
③積雪地域におけるカーポートのかたち(両支持タイプ・片持ちタイプ)
④屋根材の種類と採光性
⑤カーポート設置の際の留意点
①積雪地域における耐積雪基準
カーポートには、屋根に載せられる雪の量を目安にした『耐積雪性能』が表示されています。
森造園では、札幌においては積雪荷重150㎝以上を推奨しています。耐積雪100㎝、200㎝タイプもありますので、対応できるサイズや柱の本数に注意しながら、お住まいの地域に合わせて積雪荷重を選択するとよいでしょう。
※雪下ろしについて
雪の重さは雪の状態で大きく変化します。耐積雪荷重は、通常新雪の状態で計算されています。雪は積もっていくと自重で圧縮されて重くなり、水を含んで凍結したものは更に重たくなります。春先や降雨後などは新雪に比べておおよそ3倍の重量になります。2022年のような記録的な大雪の場合は、説明書をよく読んで早めに雪下ろしをしましょう。
②カーポートの基本的なサイズ・高さ
<サイズ>
一般的な駐車場のサイズは、1台分で幅2.5m×奥行5.0m、2台分で幅5.0m×奥行5.0mです。カーポート柱の内側でこれ以上の寸法が必要になってきますので、カーポート設置の際には、一回り大きくスペースの確保が必要です。また、配置を考える際には、工作物の設置は隣地境界ょり50㎝以上離すという民法上のルールも念頭に置いて、広さを確保しておくことが必要です。
基本サイズに加え、奥行も間口も6.0m、間口延長、奥行延長のものもあります。
3台用、4台用、縦連棟などのサイズ展開が出来ます。
サイズが大きくなるほど、柱の本数が増え、メーカー毎に異なるので確認が必要です。
<高 さ>
カーポートの高さは、梁下の高さで検討します。
標準柱で、梁下の高さは一番低いところで2.3mはありますが、
次の場合は高さのチェックが重要です。
・駐車場の勾配がきつい場合
・玄関ドア、玄関ポーチのルーフ、サッシと位置が鑑賞する場合
・積雪時の除雪状況による歩道との高低差がある場合
カーポートの高さは、どのメーカーも3段階位あるので、確認しましょう。
<駐車スペース+αの屋根を設ける>
近年、出来るだけ雪下ろしの手間を減らしたいというご要望から、アプローチ部分まで屋根が欲しいというご要望や、駐車は1台でも、2台分のカーポートの設置のご要望が増えてきています。どの範囲まで屋根が欲しいかというご要望をプロにしっかり伝えて、提案してもらうとよいでしょう。
③積雪地域におけるカーポートのかたち(両支持タイプ・片持ちタイプ)
■両足支持タイプ
<アルミ製カーポート>
2020年以前は、アルミ製は耐積雪150㎝荷重だと6本柱でしたが、2020年以降、どのアルミメーカーでも耐積雪150㎝でも4本柱が可能となりました。メーカー毎に対応可能なサイズバリエーションが異なるので、柱の本数を確認しながら選択が必要です。
アルミ製カーポートは、スチール製よりも柱等が細くシャープなイメージで人気があります。敷地、駐車スペースに合わせて、奥行切詰や、間口切詰も可能です。また、変形した敷地に合わせて角の加工も可能ですが、柱位置の制限があり自由度は低いです。
<スチール製カーポート>
近年、2台用まではアルミ製でも耐積雪150㎝で4本柱が可能となったので、2台用までであれば以前ほど柱本数の利点がなくなりました。
3台用(幅外寸7.5m)をご検討であれば、3台用でも4本柱が可能なスチール製がお勧めです。スチール製カーポートの一番の利点は、自由度、加工性が高いところです。
柱位置の変更や切欠き加工などが可能なので、より細かいご要望に沿ったカスタムメイドのカーポートが実現可能です。
<木製カーポート>
木製のカーポートもありますが、メンテナンスが必要な点、耐久年数は金属製と比べると劣ります。ナチュラルテイストにおこだわりのある方にはお勧めです。事例のように、カーポーチの屋根上を、ベランダのようにつくることも可能です。
■片持ちタイプ
片持ちタイプのカーポートは、柱が片側のみなので、車の出し入れや扉の開閉が楽という利点があります。玄関前やサッシ前に両支持タイプの柱がきてしまう場合など、片持ちタイプの方が適している場合があります。
耐積雪150㎝以上だと、素材は本体:スチール製、屋根材:スチール折板に限られます。アルミ製の片持ちタイプは、耐積雪強度が寒冷地には適していません。
また、地中の基礎や地中梁に、水道、汚水、ガスといった設備管などが干渉すると設置できません。住宅の配管ルートをよく把握してご相談下さい。
リフォーム工事には不向きです。片持ちタイプは、地中大きな基礎や地中梁で支えています。既に舗装済みの駐車場だと、舗装の解体・補修工事が必要です。
<折板スチール屋根>
積雪地でのカーポート屋根は、耐荷重と遮熱性の高いスチール折板屋根が主流です。
<ポリカーボネート折板屋根>
ポリカーボネートは、プラスティック素材の一種で、耐衝撃性、耐久性等に優れています。積雪地以外の地域ではポピュラーなカーポート屋根材です
リビング前や玄関前にカーポートを配置する場合、採光性が気になるところです。屋根下に明るい光を取り入れたい際には、スチール折板屋根の間に、部分的にポリカーボネート折板屋根を組み合わせることが出来ます。
<ポリカーボネート屋根>
積雪地以外の地域でポピュラーな透明、半透明のカーポート屋根材です。
リビング前や玄関前にカーポートを配置する場合、屋根下全体に明かるい光を取り入れることが出来ます。スチール折板屋根と比べて、シャープで軽快なイメージになります。
ただし、耐積荷重150㎝仕様だと、柱の本数が8本必要となり、コストがスチール折板屋根よりアップしてきます。
⑤カーポート設置の際の留意点
□建物、サッシとの干渉
建物や構造物からは10~15㎝はなして配置しましょう。地震の際には、カーポートと建物は別々に揺れるのでぶつからないように距離を開けた方が望ましいです。
既成の寸法でカーポートがおさまらない場合は、切詰加工が可能です。
カーポートを設置する面に住宅のサッシがある場合には、開閉時に当たらないか、室内からの見え方等チェックが必要です。
□民法上の留意点
民法第234条で「建物を建造する際、境界線から50㎝以上の距離を保たなければならない」と定められています。
カーポートを設置する際には、柱の外面で隣地境界線から50㎝以上離すことが望ましいです。50㎝離さず設置せざる負えない場合は、お隣の方へ事前に許可を得ておきましょう。
□建築基準法・地区計画
カーポート、ガレージは建蔽率(土地の面積に対して建物が占める面積)に含まれます。
建蔽率が緩和される条件を満たせば、建築面積の不算入処置が適用されます。
また、風致地区などの地区計画で外壁後退距離や高さ等の制限がある地域もまります。事前に自治体などに確認しておくとよいでしょう。
□後付けカーポートの留意点
新築時には駐車場の舗装だけ工事をして、数年後にカーポートを設置するケースが良くあります。新築時の外構工事の際に、ご要望の有無に限らずに、後からでもカーポートが設置出来るようにプランニングすることが重要です。
片持ちカーポートは特に基礎の構造が特殊で、解体範囲が大きくなるため、後付け施工には適してません。
駐車場の舗装が土間コンクリートの場合、構造が頑丈で解体工事が大がかりになるので、後工事には適してません。
以上に配慮しながら、駐車場の舗装範囲や素材を検討してい下さい。
□カーポート設置工事のご検討はお早めに
札幌において年内にカーポート工事をご希望の場合、7月から9月迄には工事の申込みが必要です。
札幌では冬季(12月~1月)4か月間は、外構工事が休工となります。例年、ほとんどの会社が7月~9月にはカーポート工事を締め切っています。春くらいから余裕をもってご検討されることをお勧めします。