人目を気にせずにくつろげるお庭にするために、必要不可欠な要素が「目隠しフェンス」。
どのくらいの高さがいいの?
どんな種類があるの?
雪は大丈夫かな?
フェンスの機能は、大きく分けて「敷地の境界をはっきりさせる」「目隠しでプライシーの向上を高める」「お家のイメージ、デザイン性を高める」などがあげられます。また、雪国北海道では、フェンスの柱本数や基礎構造も本州とは少し異なります。
この記事では、北海道に合った目隠しフェンス設置の際のポイントを施工事例と合わせてご紹介します。写真をクリックすると、各施工事例のページでより詳しく見ることが出来ますので是非ご覧下さい。
①目隠しの目的
②目隠しの高さ
③目隠しフェンスの素材
④塀・土留め+フェンス
①目隠しの「目的」を明確にする
お庭リフォームのご相談の際に、次のようなお悩みがよく聞かれます。
・道路からの視線が気になってお庭に出てもくつろげない。
・リビングが道路から丸見えでカーテンを開けにくい。家にいても落ち着かいない。
・お庭側にお隣の窓があり、気になってしょうがない。
また、目隠しの感覚は、とても個人差があります。特に自宅にいる時間が長い女性の方が、周りからの視線が気になる傾向があるように感じます。
「どこ」から、「何が」気になるか?目隠ししたいか?
「どこ」庭に立った時、ウッドデッキの上にいる時、リビング(室内、部屋)にいる時
「何が」道路を通る人の視線、隣人がお庭に出た時、お隣の特定の窓
という「目隠しの目的」を家族で話し合い、整理しておくことが大切です。
また、平面的に見てどこからどこまで目隠ししたいかが、目隠しの長さ・幅に大きくかかわってきます。見えたくない場所の真正面だけ目隠しを設置しても、斜めから見えてしまい幅が足りなかったとならないよう、現地や3Dパースでいろいろな方向から検討・確認することが大事です。
②目隠しの高さ
平均的な立った時の人の目線の高さは、
男性160㎝
女性140㎝
座った時の人の目線の高さは、120㎝です。
出典)LIXIL
A.170㎝前後
お庭に立った時に、道路やお隣のお庭から見られない目隠しの高さは170㎝位がお勧めです。
道路やお隣と地面の高低差がある場合、その高低差も加味してフェンスの高さを検討しましょう。
フェンスを設置したあとにもう10㎝高さが欲しいと思っても、後から高さを高くすることは難しく工事費もかかります。フェンスの高さを打合せする際には、庭の地面の高さからか、道路面からか、「どこから」の高さで話しているのか十分確認しながら進めることが大切です。メジャーで自分の目線の高さをはかりながら、遠めでも確認すると間違いがないでしょう。
180㎝以上の高さのフェンスは、逆に圧迫感が出てくる場合がありますので、素材やデザインも加味してよく検討しましょう。
フェンスの高さはすべて一定の高さである必要はありません。フェンスの高さを部分的に変えてデザインとして活かしてもいいでしょう。
事例)樹脂フェンスH1.7~H2.1m
B.230㎝以上
リビングなどの室内、ウッドデッキの上に立った時に、外からみられにくくするためには、230㎝以上の高さが必要になってきます。
お隣の窓サッシを隠したいときも、230㎝以上の高さが必要です。
一般的に室内の床面の高さは、お庭の地面の高さより60㎝弱ほど高くなっています。ご自宅の床の高さは何センチ高いのか?住宅の立面図、矩計図のFL(フロアライン)でご確認いただけます。
60㎝(床の高さ)+170㎝(立った時の目線の高さ)=230㎝(目隠しの必要高さ)
一般的なウッドデッキの高さは55㎝です。ウッドデッキの上でずっと立ちっぱなしになることは少ないかなと思います。ウッドデッキをどのように使うかをイメージし、座った時に見えにくくなる高さでもいいかもしれません。
60㎝(床の高さ)+120㎝(座った時の目線の高さ)=180㎝(目隠しの必要高さ)
2m以上の高さの目隠しフェンスは、フェンスの種類、素材も限られてきます。高さ2m以上のフェンスは当然コストもアップしてきますので、本当にそこまでの高さが必要かよく検討してみましょう。部分的に高くすることも可能です。その場合には、連続性のあるデザインにすることが重要です。
事例)2.4mのスクリーン(LIXIL プラスG)
③目隠しフェンスの素材
目隠しフェンスの素材は大きく分けて、樹脂フェンス、アルミフェンス、天然木フェンスがあります。それぞれ設置可能な高さや特徴等をご紹介します。
A.樹脂フェンス
弊社でもっと人気の高い目角しフェンスの素材で、高さ2.1mまで設置可能です。
柱に板を一枚一枚とめていくようなかたちで設置していきます。
柱、板材とそれぞれ色を選べるので、高さやデザインの自由度が高く、オリジナリティのある目隠しフェンスが出来ます。板材のすき間の幅も選べるのでお好み通りに設定できます。
地面に基礎ブロックを埋込めこむ独立仕様でも設置が多いですが、高さは120㎝まではブロック積みの上に設置することも可能です。
B.アルミ形材フェンス
アルミ形材フェンスは、直線的でシャープなので、モダンなイメージで人気が高いです。
フェンス本体が幅2m×高さのパネルになっていて、柱に引っ掛けるようなかたちで取り付けます。パネルのデザイン・価格はメーカー・商品ごとに異なります。色は、アルミ色、木調色と選べますが、コスト面ではアルミ色より木調色の方がややアップしてきます。
一般的には、ブロック上に設置することが多く、高さは120㎝までがほとんどです。高さのバリエーションは20㎝ごとに設定されており、中には極一部ですが高さ160㎝まで可能な商品もあります。
地面に基礎ブロックを埋込めこむ独立仕様でも設置可能です。北海道においては、柱、基礎を1mピッチで設けることが必要です。
フェンスの高さが欲しい場合には、多段柱仕様の柱をつかって、2段、3段と縦にフェンス本体を重ねることが出来き、独立仕様高さ3mまで施工可能です。弊社ではコスト面やデザイン面から多段フェンスはあまりお勧めしておらず、高さのあるフェンスはアルミフレームと組合わせたり、次に紹介するスクリーンタイプのものをお勧めしています。
事例)ブロック積み+アルミ形材フェンス
C.アルミスクリーンタイプ
シャープなイメージのアルミ素材で高さを出したい場合は、独立仕様でハイスクリーンタイプの商品が各アルミメーカーにあります。2.3mくらいまでの設置が可能です。
デザインは、縦桟タイプと横桟タイプとありますが、目隠し率が高いのは横桟タイプで、縦桟はモダンな印象になります。
コストは上記のA、Bに比べてかなりの高額になり、デザインも単調になりがちなので、弊社ではアルミフレームでお勧めすることが多いです。
その他スクリーンタイプ
LIXIL プログコートフェンス,ハイスクリーンフェンス
三協アルミ エルファード、LALAスクリーン
D.アルムフレームのスクリーンパネル
室内まで見られたくない場合には、アルミフレームをお勧めします。
アルミフレームに半透明のポリカーボネートパネルの目隠しは、採光性も高さも確保でき、縦格子の組合せによりデザイン性も高まるのでお勧めです。
LIXIL 「プラスG」
YKK 「リレーリア」
三協アルミ 「Mグローリア」
カーポートやフレームとの組合せで、統一感のあるファサードを演出でき、パネルや格子の組合せで単調にならず変化を出せるところも利点です。
事例)プラスG ポリカパネルと縦格子パネルの組合せ
E.木製フェンス
数年に一度のメンテナンスがかかることから、近年天然木材のフェンスのご要望はめっきり減ってしまいました。
木材を屋外で使用する場合の最大のデメリットは、腐食・メンテナンスです。一口に天然木材といっても、安価なツーバイ材からメンテナンスフリーの輸入木材まで様々な種類があります。安価な木材でも防腐剤注入や塗装、柱を直接地面に埋設しないための金属のアンカーなど別途費用が掛かります。塗装などのメンテナンス費用も含めると、Aの樹脂フェンスとコストもあまり差がなくなってきます。
森造園では、木製フェンスをつくる場合は、ハードウッド、アイアンウッドと呼ばれる熱帯雨林地帯の輸入木材をお勧めしています。腐食しにくい特性、柱を直接地面に埋設しても耐久年数は25~30年と永いのが特徴です。
ハードウッドの弱点は、どの木材もそうですが、木材の褐色が紫外線の影響で白銀化する点です。色あせも天然素地の良さですが、お好みがわかれるところです。
ハードウッドのコストは、おおよそ樹脂フェンスより2~3割増しくらいです。(2022年現在)その時々の時価や国内の在庫状況など変動があり、近年、価格が高騰の傾向にあります。
④塀・土留め+目隠しフェンス
お庭と道路やお隣と高低差がある場合は、内側のお庭に立った時と外側の道路に立った時の目線の高さと両方から高さを考える必要があります。
また、積雪地域の特色で、「フェンスに雪が押し付けられないか?」というご心配をよく聞きます。基本的に、フェンスは横からの圧力に耐えうる構造はしていません。特に、道路の除雪などで敷地側に雪の圧雪が懸念される場合には、ブロック積みなどの構造物の設置をした方がより安心です。
ただし、除雪車もフェンスなどの構造物があると破損しないようにより注意を払いますし、万が一破損等の事故にあった場合は保険などで修繕してもらえますので、心配しすぎなくてもいいでしょう。
50㎝以下の土留め
目隠しフェンスを設置したい場所に高低差がある場合、フェンスとは別に土留めが必要です。50㎝以下の土留めだと民地石やL型土留めで十分で、目隠しフェンスの基礎は別途必要です。
50㎝以上の土留め
50㎝以上の土留めには、ブロック積み(型枠ブロック)、もしくは現場打ちコンクリート擁壁が必要になってきます。この場合は、擁壁・ブロック上にアルミフェンスや樹脂フェンスの設置が可能です。
一般的に擁壁・ブロック上に設置できるアルミ形材フェンスの高さは120㎝までが多いですが、一部高さ160㎝まで可能な種類もあります。
ブロック積の高さとフェンスの高さは、バランスをとりながら検討するとよいでしょう。
道路や隣地と高低差がある場合、内側と外側で必要高さが違ってきますので、コストと見合わせながら検討していきましょう。
事例)既存土留め+1.0~1.2mの樹脂フェンス(独立基礎)
※土留め上ではなく、内側に独立基礎仕様でフェンスを設置しています。
現場打ちコンクリートの高さ制限(2m以下)
法第88条第1項の建築確認申請の準用規定において、施行令第138条第1項第5号に確認申請が必要な規模が明記されています。高さ2mを超える擁壁が建築確認申請の必要な規模となります。外構工事で擁壁を設置する場合には、確認申請を伴わない2m以下にすることが多いです。
2m以上の高さが必要な場合には、現場打ちコンクリートの上にアルミフェンスを設置することも可能です。
事例)2mのRC壁+60㎝のアルミフェンス